授業紹介

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※科目名が同じでも担当教員により内容が異なる場合があります。履修登録の前に必ずシラバスで内容を確認してください。

時間割コード 137149
2024(令和6)年度
OU-SDGsプログラム選択科目
春夏学期
金 2

経済現象を読み解く

科目区分
基盤教養教育科目(社会科学系科目)
担当教員
山本 千映(経済学研究科)

「経済現象を読み解く」は、経済学研究科・国際公共政策研究科・社会経済研究所の教員が、経済学の基本的な知見をもとに経済現象のさまざまな側面をどのように理解すれば良いかを解説するものです。私の担当科目では、現代経済の仕組みの大枠を形成した英国産業革命について、詳しく見ていきます。
日本の大学生の多くは、卒業後、企業や官庁などに就職します。つまり、給与所得者になっていきます。給与所得者の生活を経済学的に表現すれば、自らの労働を労働市場で販売してカネを得て、そのカネを使って財・サービス市場で自身に必要なモノやサービスを購入する、というものです。しかし、例えば、江戸時代の人々の多くは農民で、自作と小作の違いはあるものの耕作する権利がある土地を持っていました。その多くは小規模で生活は貧しかったかもしれませんが、彼らは経営者とその家族従業員だったのです。現代のように、人のために働いて賃金を得るというような働き方が一般的になるのは、18世紀半ばに始まった産業革命以降のことです。
産業革命は人々の日常生活や世界経済の構造を大きく変えました。上記のような働き方の変化に加えて、人力や風力・水力に頼っていたモノの生産やヒトの移動は化石燃料を用いた蒸気機関に取って代わられましたし、世界経済の中心は中国やインドから西欧諸国やアメリカに移りました。産業革命とは何だったのか、なぜイギリスで生じ、その帰結として私たちの生活がどのように変わったのか、こうしたことを講義とグループワークを通じて考えていきます。

SDGsとの関わり

Sustainable Development Goalsには、17の具体的なGoalsがありますが、産業革命はその多くと関わっています。例えば、「1.貧困をなくそう」。長期的に見ると、イギリスの一人当たりGDPは飛躍的に増大し、21世紀の私たちの暮らしは18世紀の人々とは比べものにならないほど豊かになりました。また、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に関して言えば、産業革命期にはそうした基盤が各地で誕生していきます。
他方で、変化の激しい時代には先端技術を操れる人材が不足して彼らの賃金が上がる一方、廃れていく産業が現れてそこで働く人々は失業します。「10.人や国の不平等をなくそう」という方向とは逆です。工業都市の誕生により産業革命期には都市化が急激に進行しますが、増えすぎた人口に汚水処理などの都市インフラが追いつかず、疫病の蔓延などが見られます。「11.住み続けられるまちづくりを」という問題が、喫緊の課題として登場したのもこの時期です。「13.気候変動に具体的な対策を」という問題が語られるとき、工場や蒸気船、蒸気機関車で大量に石炭という化石燃料が使われるようになった端緒として、産業革命があげられます。
この授業では、英国産業革命を学ぶなかでSDGsに掲げられているこのような諸問題についても、考察していきます。

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